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ナイフと花

無事にオペラが終わった。
とにかく、前日のゲネプロ、当日開演30分前まで変更につぐ変更があったり、なにより当日すごいハプニングがあった。舞台では、私が(マクベスがダンカン王を殺す)ナイフを舞台に置いて立ち去るのだが、そのナイフを、当日に限って、なんと拾ってソデにもってかえってきた人がいてしまった。(ナイフがなければマクベスが始まらない!)

当日の主役のかたは演技派。舞台上で、ナイフを持って帰ってしまった人がいることを確認したうえで、ソデにはけるマクベス夫人に向かって対処をお願いし、それでもだめなら「(スポットのあたっているところに)ナイフがない」という状況での演技を考えていたという。すごい!でも無事に終わった。

私は今回が初のオペラ出演(最初で最後であろう)だが、何より楽しかった。
皆の気持ちを一つにして伝えたいことを表現することは、歌の出来不出来よりも何よりも素晴らしいことであると感じる。

演出の先生、指揮の先生とも「西欧の文化の中で、演劇やオペラが、当時の民衆の気持ちを代弁し、それが民衆を動かすことすらできた」という思いを共感できたことは嬉しく思った。また「Macbeth」は一つひとつのシーンが音楽によって最大限に表現できている作品の一つであることも両先生と語り合った。「Macbeth、いいよね・・・・・・・・・・・」

私自身は未熟な演技だったが、あっけなく終わってしまったというのが実感であった。「終わった」という解放感で楽屋に戻ると、あふれるほどのお花やお祝いの品が届いていて涙が出た。プリマドンナと同じ楽屋だったのだが、プリマ以上(汗)の沢山のお花で、芳しい香りが緊張感の途切れた皆の気持ちを包み込んでくれたことは感謝である。

指揮の先生も打ち上げの席で「何回かMacbethを行う中で、パルマでのMacbeth公演が今までの中で一番感動したが、それと同じ、いやそれ以上の感動だった」とおっしゃって労ってくださった。友人の感想の中に「皆さんのオペラへの情熱が演技に感じられた」という一言があったが、本当にそうだろうと思う。私自身は初心者だが、ノンプロとはいえ、すごい情熱だと思う。

ということで、皆様のご声援、たくさんの出会いに心より感謝・・・。
by lakeforest | 2009-01-12 19:18 | 音楽

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