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講話に思う

雇用者削減のニュース満載である。恐ろしい。

WHOのシンポで言われていたが、自殺を語るには放っておけない大事な数字が二つあるという。「98.3」と「72」である。お分かりであろうか?

「98.3」とは、’98年3月を指す。この時期をさかいに自殺者が急増した。証券会社、銀行までもが倒産し、バブル崩壊の決算期であった。

そして「72」とは、自殺者の72%が、死ぬ間際まで何らかの相談に行っていたという相談率の数値である。つまり自殺者の72%のかたが、死ぬ間際まで何らかの相談を求めていたのである。この数値は「何とかして生きたい」と感じていたということを反映する数値ともいえよう。

「98.3」が「08・3」にならないように心から願っている。
死者が3万人を上回った、下回ったなど、死者の数を増減で示すことはどうなのだろう?と感じる。例えば3万人をきって2万人になったとしても、3万人が生き返るわけではないのだから、1万人減ったというよりは、2万人増えたというのが現実である。

さて先日、娘の学校で、学校長による宗教教育についての講話があった。私の職場には、同じ出身校の卒業生が何名かおり、皆その学校長と何らかの関わりがある。例えば、卒業時の校長であったり、私などは米国姉妹校の教師を日本にお連れしたときにお会いしてお話したのがきっかけで、同窓会活動を通して、また今は娘の学校でとお世話になっている。(と横道にそれたが)

その講話で「世界の貧困」と「3万人の自殺者がでる日本社会」について語られた。そういう世界を作っている私たち、そしてそういう社会生きている私たちの行動選択など・・・まさか宗教教育の話の場で、そのようなことが具体的に出るとは思わなかった。と同時に、私たち全員が少なくともその二つの命題に関わっていることに気づいた。これは偶然とはいえないのではないかと感じる。このパワフルな学校長から、皆とても大きなエールをもらっているに違いない。今回の講話でも、言葉より行動を・・と話していたし、「関わり」能力を高めることの重要性についても言及した。私たちが大勢の中で何となく共通のものを感じて、ともに働けることへの心強さに感謝したい。

山谷や依存症についても触れていた。
私自身が山谷で活動している中で、今年珍しいことが起こった。以前にも書いたかもしれないが、高齢化が進む中で、10代の女の子が施設を訪れ、入所したことである。

昨年まで売り手市場(このような言い方は好きではないが)だった大学生の就職だが、一変して大変な状況だ。未来ある若者、次の世代を担う若者に希望の道を与えられないこの社会。何かおかしい。

米国が長い共和党政治から変わる。日本がいつまでも翻弄されることなく、日本らしさをめざし、自国に目を向けて考えていく良い時期ではないか。

何より「人」を大切にする社会でありたい。まずはそこからだ。社会保障制度にしても、経済、政治、全てにおいて、人を数値に置き換えて考える社会をもう一度見つめなおしていくことが大切であると、このごろのニュースを見てしみじみ思う。今日も夜風が肌を切るような冷たさだ。路上死者も出してはならないだろう・・・。
by lakeforest | 2008-12-18 21:19 | 社会

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