エン・ハコレ

ほんの数分で、心が癒されるというか落ち着きを見出せた時は、喜びでもあるし励みにもなる。そしてその数分間、瞬間というのは人それぞれ違うし、場面場面で異なるものであろう。

このところの時の速さ。忙しさの合間をぬって、文化祭でオーケストラ部の公演を聴いた。時間がないので戻らねばならない・・と思ったが、私の大好きなSaint-Saensのバッカナール(you tubeへ飛びます。METでも力を入れていたJ.Levine指揮)が最後の曲だった。遅刻してでも聴いておきたいと思い残って聴いた。

旧約聖書が原作である(オペラ)Samson et Dalilaであるが、Bacchanaleは第3幕の勝利の宴の部分を表現したもの。ヘブライの民族的な旋律によって導かれ、官能的な踊りが目に浮かぶようなエキゾチックさと、酒の神であるバッカスによって操られながら祝杯をあげるかのような民の様子、そしてその宴の顛末への予感を見事に描いた楽曲といえよう。当たり前だが、全てに不必要なものはない。パーカッションなども脇役ではない。

またこのオペラは、Dalilaのアリアが素晴らしい。中でもSamsonの怪力の源を色仕掛けで聞き出そうとする女性Dalilaの泣き落としの場面で歌われるアリアは名曲で、この女性の魅力と悪女ぶりが表されている秀逸な曲だと感じられる。やっぱり美女と悪女、良くも悪くも賢い女性はメゾの領域だ。いずれも名曲だがお聞きになりたいかたはこちらへ(you tubeへ飛びます。Borodina&Domingoサムソンでどうぞ04:11頃からのアリアです。)

先日、足を伸ばした大原美術館で、Gustave Moreau の絵の美しさ(旧約聖書を題材に描いた雅歌)に目を奪われたが、こMoreauもSamson et Dalilaを描いている。そう、サムソンがダリラの膝枕で、気持ちよさそうに横たわっている場面である。まさしく、歌の場面であり、ホロっと自分の弱みを語ってしまうにちがいない・・・と思われる絵である。

バッカナールで癒され、様々な場面が思い出された。Saint-Saensの音楽は実に心に響く。大好きな音楽家でもあるし、天才であると感じる。数分の音楽が、心に余裕を与えてくれた。人は何て愚かな生き物なのだろう、そしてこの忙しさの中に豊かな実りがあるように・・・と祈りながら会場を後にした。

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倉敷にある大原美術館。間近で興味深い作品が鑑賞できる。何度も訪れたい美術館。
by lakeforest | 2008-10-14 12:06 | 音楽

日々のできごとを、訪れた方々と分かち合えたら・・。( 本ブログの文章、データ等の無断転載、使用はおやめください。)


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