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ぶどう園

倚りかからず

もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて 心底学んだのはそれぐらい
自分の耳目 自分の二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば 
それは 
椅子のせもたれだけ

ご存知、茨木のり子さんの詩です。
母の大好きな詩で、「私も同じ境地」という言葉とともに、発行されるや否や送ってくれたことがありましたっけ。

一人で立つためには、しっかりとした根っことそれを支える土台が必要です。土台は家族の愛であったり、信じるものであったりと、自分が知らないうちに力をもらっているものから成り立つのだろうと思います。

遺産
暴力というと乱暴を働くことのように思えますが、それだけではないのです。(本ブログをお読みのかたにはお分かりのこととおもいますが)暴力というのは「力による支配」のことを言いますから、家族関係、恋人、学校、職場・・・人の集まるところには必ずといっていいほど起こりえるものなのです。

『・・・・こうやって、様々な暴力の構造をみてくると、おわかりでしょう。最も典型的な「暴力の温床」となる場所は家族なのです。』と滑舌宜しく、スパぁ~ッと言い放ちながら、暴力の問題(暴力で追いやられたかたの心のケア、家族問題、嗜癖問題等)に取り組んでくださっていた遠藤優子さんが、1月に亡くなられました。

暴力の構造(起こるしくみ)を知ってしまった以上、暴力のない環境づくりをするにはどうしたら良いのかということに立ち返り、実践していくことこそが遺産を受け継ぐことと思っています。

昔の、ある種明け透けな地域密着型社会には、「アルコール依存症」は「のんべえなオヤジ」ですんだし、DVの当事者は逃げ込むところがありました。でも、今のような都市化された社会では、個々に分断されていて見えないものがたくさんあります。一人で追い込まれていても見えないし、わからないのです。ですから被害が深刻化するのです。そして、自立しようと思っていてもできない・・・ここでは、社会との分断がキーワードです。

暴力を回避、予防することで大事なことは「風通しをよくすること」つまり「窓を開ける」「中を見えるようにする」ということ、そう遠藤先生が教えてくださいましたが、私は「布団を干すこと」に近いのではないかと思っています。布団を太陽の下にさらすと、知らないうちにダニや雑菌が死に、パンパンパンと叩けば、フカフカになるでしょう?それと同じです。

「事件は会議室ではなく、現場で起こっている」とうい名セリフがありましたが、暴力の場合はどこでも起きる可能性があるので「会議室という現場で起こっている」「会議室で練られ、現場で行使されている」の場合もあり得るのです。悪事がすべて密室で計画されるのと同じです。悪代官と越後屋・・・(汗)。

いずれにしても、力持つ者こそが、暴力とは何かを知ることが大事であるし、暴力を受けたと感じた場合には、白日に晒すことが第一歩だと思います。分断、孤立は暴力を増長させるもとです。白日に晒すことが難しいならば、信頼できる人、専門家に話してみることが大切です。

一人でも多くの暴力で悩んでいる人が泣き寝入りせず、正しいケアを受けること、そして暴力を都合よく解釈させる社会を作らないように考えていけたらと思います。
by lakeforest | 2008-03-06 06:00 | 価値観

日々のできごとを、訪れた方々と分かち合えたら・・。( 本ブログの文章、データ等の無断転載、使用はおやめください。)


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