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思い出し笑い

久しく『思い出し笑い』がなかったこの頃、今朝は漢字の話から、ある出来事を連想して一人で笑ってしまいました。

たいてい、自分自身が行った恥ずかしい体験が多いのですが、今日はなぜか友人Aさんのことを思いだしてしまいました。

昔、勤務していた会社での話です。私が所属する部署のお隣の部署(広いワンフロアーの隣のシマ)で、セミナー受付を行っていました。新聞にセミナー開催の案内がでると、普段より多く電話がなります。時期になるとアルバイトのかたが入り、電話対応するのですが、その一人のAさんととても仲良くさせていただいておりました。

その彼女の、ある電話騒動を思い出してしまいました。
「○○でございます。セミナーお申し込みでいらっしゃいますね。ではお名前からどうぞ。」
「お役職名は?」
「ご会社名は?」
(なかなか上手くいっている様子)

「ありがとうございます。では復唱させていただきます。ご住所が○○○。御社名が、マエカブ○○株式会社様。」

「ハイ?失礼いたしました。アトカブではなくてマエカブ様、マエカブ○○株式会社様・・・へッ?マ・エ・カ・ブ○○様?失礼いたしました、マエカブ○○様」

「ご参加者名が、ダイトリ タマキ様。失礼いたしました・・ダイトリ タマキ ○○様」

「ハイ?ダイトリはお役職名で・・どのように書きますか?・・失礼致しました。代表の代に取るで、ダイトリ様?」

見かねた正社員の女性が、メモで電話を代わるように示しました。

「お待ち下さいませ。」・・・・選手交代・・・・「大変申し訳ございません。いつもご参加ありがとうございます。株式会社○○ 代表取締役 タマキ ○○様でございますね。では、早速書類をお送りいたします。お電話ありがとうございました。」

こんな具合で、彼女の電話には毎日のように笑わされていました。
人の名前を漢字表記を確認する際にも、例えば「原田太郎」という名前でしたら、「原っぱの原に、田んぼの田、桃太郎の太郎でよろしいですね。」という具合です。

また、難しい字の場合、相手の言った言葉を忠実にひらがなで書き込み、あとで辞書で引くという涙ぐましい努力。

例えば「イグマ」さんでしたら「動物のイノシシにクマ・・・?」とさりげなく語尾をあげて反復してしまい、相手の方が気を利かせて漢字をばらして言った暁には、「ムーツキヒィヒィにヨツテンでございますね?」という風に、相手の言ったことを復唱し、それを「むーつきひーひーによつてんのクマ」とメモしていました。

ですから彼女の記入表(参加者1名につき一枚)は、欄外や裏面に様々な言葉が書き添えられておりました。涙ぐましい努力もさることながら、彼女の巣晴らしかったところは、決して横柄なところがなく、いつも笑顔、誠実さが伝わってくる電話対応だったことです。

その部署で、ベテランの女性なぞは「如水会館の如水」という字を説明するにも、「水の如しと書きます」・・・と、美しい表現を用います。多分私なんかは「女に口と書いてジョ、飲む水です」と答えたでしょう。彼女がたとえを言うと、自分でその言葉を連想しながら名前を書いてみたりしていました。とにかく語彙が豊富で、表現が素晴らしいのです。でも、残念ながらとても感情の起伏が激しいかたで、電話先のお客様に感情が伝わってしまうので、機嫌が良い日以外の彼女の電話はドキドキものでした。

またある時、Aさんが電話口の相手のかたに「とんでもございません。」と何度も言っていました。すると電話を終えて、
上司が「Aさん、『とんでもございません』とは言わないでしょう。」
「へぇッ?『申し訳ない』は『申し訳ございません』でいいんですよねぇ?なんで、『とんでもございません』はだめなんですかぁ?」
「えぇ・・?!『とんでもない』はそれで一語だからよ。『みっともない』を『みっともございません』って言わないのと同じです。」
「そうですかぁ・・・・気をつけます。」
彼女は早速、メモに書き出しました。「とんでもない→とんでもありません」・・・Aちゃん、違うってば・・・。

なぜか思い出した20年前の思い出です。
by lakeforest | 2007-06-21 18:53 | 雑感

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