我は我、彼は彼、されど仲良く

4月から院で研究を始める。社会人であるので、夜間や土日に足を運ぶことになる。いずれ院を目指すことは10年くらい前から決めていたが、今がその時だろうと感じ、トライしてみた。

具体的に発信したいことが(散漫し)決まらなかったが、ある時、切り口が違うだけで行きつく先は同じであることに気付いた。しかしそれに気付いた後も、切り口自体が決まらなかったことは否めない。

決定打は、暴力の問題を始めとする自殺問題へ取り組み、小冊子発行に関わったことだった。

何故、自殺者が減らないのか?
数年前、素朴で大きな疑問が生まれた。

昔から決して自殺率は低くなかった。日本は長い間、思想文化の側面から「死」への美学、潔さや、宗教的にも自殺を容認する背景があったからではないか。自殺率には波があり、戦後から現在まで3回ほどピークを迎える。

敗戦からの復活は労働による国家再建、華々しい経済成長、右肩上がりの時代を迎える。国民は目標を持ち、迷うことなく、一丸となって進んでいく。

“Japan as Number One”にも語られる日本的経営(年功序列、組合、終身雇用)によって、支える基盤を得ての猛進であった。そして迎える拝金主義。個人消費による自己実現を目指す風潮がピークに達した。自己実現と自己責任の時代である。そして失われた10年へと突入する。企業倒産、リストラ・・・etc.

経済によっていのちの重さが変わるわけではない。変わってはいけないはずだ。生き方や在り方が変わっても、きちんと根が張っていれば問題ないのではないかと思えるが・・。

そして1990年以降、自殺率が急激に高くなる。
戦後の急成長で価値観や社会システムが変化していく中、補完や支え合いの形(地縁、血縁、社縁)も変化を見せる。(日本的)個人主義の台頭が社会の弊害だという考えもあるが、私自身は個人主義が悪いとは思っていない。そして今は「自己責任」を問える状態にはない。それを語るには社会保障というか、社会がそういった人たちを支える基盤が脆弱すぎやしないだろうか。

中高年男性に自殺者が多い。
最も自分から助けを求めない年代であると言われ、アウトリーチが難しいとされている。今は、その年代の家族や妻への啓発活動によって、心の病に気付くことからの取り組みが有効とされている。

女性に自殺者が少ないのは「井戸端会議」などから生まれる女性の連帯意識であると考えられないか。つまり「問題縁」の拡大版である。「あなたも私も、大なり小なり同じような悩みを抱えている」という気持ちや、どこかで「皆同じ」という意識でつながり、励まし合うような仲間作りができるのだろう。

子どもの自殺は痛ましい。子どもに責任はないからだ。
子どもを自殺させるような社会を作ってはならない。大人の責任である。

では今後どうしたらよいのか?
私たちはどのような社会にしていきたいのだろう?

「ジャパンシンドローム」「無縁社会」「孤族」。
これらの現実に立ち向かう時、経済中心ではなく、πを小さくしてでも、生きやすい、生きがいのある社会へと向かっていくことが大事ではないか。そして、そのひとつとして、この3つのキーワードには「ともにある」「ともにいる」「ともに生きる」というような人間の根本的な生きる条件の再確認の必要性があると思う。

まさしく宗教でいう、神の存在「be with you」であるが、宗教を持つ者は、すでに自分の傍にいつもいる人間を超越した存在に無条件に受け入れられている。こんなに強い支えはない。

同じ時に生きていてよかった、知り合えてよかった、互いの存在を喜びあえるそんな関係を作っていきたいものだ。そしてその小さな積み重ねがつながって、よりよい社会へとつながっていくのだろう。

そして、このように価値観が多様化した社会では、人は様々に悩み、戸惑い、傷つくことも多いだろう。現に、自分が受容されないという悩みを多く持つ人がいる。傷ついたならば、回復する機能が人間には備わっていることを知って、自分を労わり、生きる力を回復していくことも必要だ。

人はなぜ、このように苦しむのだろう?どうやったらこの苦しみから解放されるのだろう?自分には何ができるのだろう?この第2の疑問から、院での研究を始めようと思った次第だ。

冗長だが、私の単純な思考回路をツラツラと披露してしまった。というかしただけだった。
どんな時にも思い出すのだよ、急逝なさった遠藤優子先生の「我は我、彼は彼、されど仲良く」という言葉。

なんで聖書の言葉じゃないんでしょう・・・orz.
感謝。
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by lakeforest | 2011-02-24 18:05 | 社会

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